言葉のない音楽
こんにちは。川越市南古谷ピアノ教室フルールのちかざわちずこです。
今日はちょっと趣向を変えて、私の音楽にまつわる思い出話を書きたいと思います。
小学校の給食準備から給食の時間はいつも、放送委員が放送を流していました。
それはずっとBGMとして当たり前の日常だったのだと思います。
それまで特にその放送に耳を傾けた事はありませんした。
しかし6年生の時です。
あるピアノ曲が流れた時、私はこれまで味わった事のない衝動を感じました。
その曲が耳に届いた瞬間、自分では制御できない涙が溢れて止まらなくなったのです。
胸が苦しくなり、自分では止めたいと思っても涙をどうしても止める事ができません。
私はそんな自分の衝動をどうすることも出来ず、どうしようもなくなりトイレの個室に駆け込みました。そしてその曲が終わるの待ち、落ち着いてから教室に帰っていました。
そんな日がしばらく続きました。
とにかく当時は、人前で涙を流す恥ずかしさの感情が大きかったので、逃げるようにトイレに駆け込んでいたのです。
しばらくは曲名さえ分からずいました。だけど中学校2年生の時ピアノの先生が教本が終わったご褒美に好きな曲を弾いていいよ、と言った時、あの曲しか思いつきませんでした。
メロディを口ずさんだ時、先生から教えてもらった曲名はショパンの『雨だれ』。
ショパンの雨だれを作曲した背景を知り、その当時の自分の中の葛藤を重ね合わせ、何かが自分の中で共振していたのか、と思った時、言葉を持たない音楽の威力を感じずにいられませんでした
あの時聴いた曲を自分で演奏出来る幸せ。曲の持つ力。
色んな事を感じながらピアノに向かいました。
ピアノの曲には歌詞はありません。
言葉は何もありません。
だけど、言葉よりはるかに強い力を持つ音楽がある。
時代も言葉も飛び越え、感情を揺るがす力がある。
…いや、ミーハーな部分も充分持ち合わせていたので、当時大好きだったアルフィーのLP(当時はCDなんでありません!)をテープにダビングして繰り返し聴いていて、歌詞のある音楽も充分好きでしたが(笑)。
でも、あれ程の衝動を感じた音楽は、これまでまだありません。