ピアノ教育が陥りやすい罠
こんにちは。
川越市ピアノ教室フルールのちかざわちずこです。
先日、大人の生徒さんがレッスンに来てくれました。
楽曲は、池田奈生子さんの作品を練習しています。
シンプルな曲ですが、響きがとても美しい曲なので
「弾いてて、とっても癒されます♪」
と喜んで下さっています。
2週間前のレッスン中に曲をお渡しして、
私の演奏を聴いて頂いた後、一緒に譜読みをしてみました。
スムーズに音符も読まれて、初見でもほぼ弾けているのですが、
とっても力強い音色です。
柔らかい雰囲気を持った曲には少し合わない感じ…
そこで「曲に合った音を考えて弾く」という
アドバイスをしたところ
「え!もうそうやって弾いていいんですか?!
私、曲が全部弾けるようになってから、
そういう事をやっていくのかと思ってました!」
と、とても驚かれていました。
その言葉に、私もとても驚いたと同時に
「昔のピアノレッスンって、そんな感じだったかも…」
と、妙に納得もしてしまいました。
まず譜読みを全部して、弾けるようになったら曲想をつける
これって、何だかおかしな事な気がします。
音楽って、まず「感じる事」じゃないかしら?
曲に出会った時、どんな風に感じ、どんな風に弾きたいか感じる
例えはちょっと微妙かもしれないけれど、
カラオケで歌を歌う時は、自然と曲に入り込み
曲に合った歌い方をしますよね。
ピアノの演奏も同じじゃないかしら?
そんなお話しをすると、
「そうか~いいんですね!
私は、まだ曲の練習を始めたばかりで、
そんな風にノッて弾くのはいけない気がしてしまって」
と仰ったのを聞いて、これって実は
ピアノ教育が陥りやすい重大な罠だと思いました。
まず正しく弾く事が大事。
感情・表情は後から。
もちろん、弾き込むことによって
表現に深みが増していく事はあると思いますが。
だけど「こう弾きたい」という心が感じるのを
後回しにしてしまいたくない、と思います。
レッスンで取り入れている即興演奏は、
基本的に私とのアンサンブルです。
私が弾く伴奏に合わせ生徒さんは自由に
ピアノを弾いてくれます。
その時生徒さんは、どんなに幼い年齢でも
私の音を聴いて、自然とそれに合うような
ピアノの音で弾いてくれます。
はじめはワーっとでたらめに弾いていたとしても
次第にお互いの音を聴き合いながら
音楽として成り立っていく
そんな感動的な経験をレッスン中に何度もしています。
音楽を感じる心は、生まれ持ってみんなあるんです。
ピアノレッスンをする事で、それを失ってしまわないよう
私自身も、自分のレッスンをいつも振り返っています。